詫間宝石彫刻とは
数億年の自然美を、甲府の彫刻技術によってオーセンティックで普遍な作品として現在に甦らせる
甲州水晶貴石細工について
自然が生んだ天然貴石の透明感あふれる色合いと輝き。甲州水晶貴石細工は精を極めた彫刻と入念な研磨技術によって、 この天然貴石の秀れた味わいに人生の感性を経た「美」を加えているのが特徴です。
我が国唯一の特殊工芸品甲州水晶細工の歴史とは、今から約千年前景勝地「御岳昇仙峡」の奥地金峰山周辺からの水晶原石 の発見に始まります。水晶発見当時は原石のまま置物などに珍重されていました。今からおよそ200年前、天保年間 (1930〜1944) 京都の「玉造」より職人を迎え、鉄板の上に金剛砂をまいて、玉の手磨き方法を習得したのが水晶加工の始まりです。 明治後期には手摺加工から足踏み回転式に改良され、更に大正初期の電力加工により飛躍的に進歩し現在に至りました。
昭和52年には通商産業大臣指定 ( 伝統的工芸品 ) 産業と認定されています。
詫間宝石彫刻の歴史
1955年に先代、詫間悦二が叔父で現代の名工、故詫間正一氏に弟子入りしました。
15歳で単身甲府に呼ばれ丁稚奉公として働き始めました。
正一氏は当時の甲府で盛んだった仏像などの宗教的な製品よりも、美術工芸品に力を入れ、今でも続く水晶工芸の流れを作り、その影響力は大きなものでした。当時は企画品を作る職人が主流でしたが、正一氏は一貫して美術工芸品にこだわったのです。
その後、原石の販売会社に努めていた母 いし子との結婚を期に27歳で独立、1967年に「詫間宝石彫刻製作所」を立ち上げました
父悦二も正一氏の流れをくみ美術工芸品の制作を得意としていました。当時翡翠の加工は至難の業と言われていました。悦二氏は、翡翠を光らせる特殊技術を独自に考案し、山梨の職人では快挙である「科学技術庁長官賞」を受賞しました。これにより悦二氏の作品は、翡翠の第一人者として認められ、上野の国立科学博物館の「翡翠展」に出品され、稀代の工芸家として脚光を浴びました。
1995年に次男康二氏が入社します。それを期に「詫間宝石彫刻」に社名を変更しました。この当時の主な生産は貴石彫刻の置物などの生産依頼でしたが、康二氏がジュエリー業界で培った金属加工技術を取り入れたことで、徐々に今のようなジュエリーの生産に着手するようになっていきました。
2003年現在地に工場を移転。それと同時に三男亘が入社しました。
2000年初め置物などの制作と共に比較的高額なジュエリーの制作も依頼されることが多くなり始めました。石象嵌(せきぞうがん)や石と金属の同摺(どうずり)は詫間宝石彫刻独自の作品として細々と発表していましたが世間から注目を浴びることはありませんでした。
2000年終盤から、「詫間宝石彫刻」は大きな転機を迎えます。
新生ジュエリーブランドへの技術提供を始めたのを機に徐々に「詫間宝石彫刻」が認知されるようになり他の有名ブランドから次々に声がかかるようになり、山梨の当社工場に見学に来るようになりました。これにより業界内で「詫間宝石彫刻」がもつ彫刻技術の認知度がさらに高まってきたのです。
2020年に旧工場跡にshowroomをオープンしました。康二氏は以前より自分の作品を顧客向けに展示するスペースが欲しいと考えていました。多数のブランドに技術提供していることは一切公開していなかったですが、自らの技術を自らプロデュースした空間で顧客に提供したいと考えたのです。
今後は、オリジナルブランドである「詫間宝石彫刻」を直接顧客に届けてまいります。2021年には自社ブランド強化と若手職人育成のために、法人化しました。
しかし残念なことに2022年に先代の詫間悦二が他界しました。悦二氏が培った彫刻技術は、二代目に受け継がれており、さらに後世に伝承すべく若手の職人育成にも力を注いでまいります。
STAFF
Etsuji Takuma
1941年 函館市に生まれる
15歳で叔父の故宅間正一氏に師事
1967年に詫間宝石彫刻製作所を創業
2019年 瑞宝単光章w受賞
2022年に永眠
伝統工芸士、1級宝石研磨士
社団法人 日本工芸会正会員
やまなし現代の名工、山梨県美術協会会員、山梨県水晶美術彫刻組合理事、貴石名匠工芸士会副会長、東京支部日本伝統工芸武蔵野展審査委員
Koji Takuma
代表取締役社長
1973年生まれ
伝統工芸士,ジュエリーマスター
幼少期から父の仕事を継ぎたいと考えていたが、高校卒業時に「この仕事は儲からないからやめろ」と反対され当時バブル期で繁盛していた金属加工職人を勧められ経歴をスタート。
25歳で父 悦二に師事。
2010年にkoji takumaとしてパリの合同展に出展
2018年LEXUS new takumi project 山梨代表
石の買い付けからデザイン、加工まで一貫して行う。
Wataru Takuma
取締専務
1974年生まれ
伝統工芸士、ジュエリーマスター
貴石彫刻の技術に加え、カッティングもこなす
Mikio oka
地金加工のスペシャリスト
父親が貴石彫刻家のため石加工にも精通している。
Yuta Takuma
2015年に入社
プレジュエリーマスターを取得
Atsushi Nishimoto
奈良県出身
2018年に入社
貴石加工を主に行なっている
Yurika Magaribuchi
2019年入社 ジュエリーマスター、
貴金属加工1級技能士を取得している
Rie Yamashita
2021年入社
主に生産管理を行なっている